NFL観戦

フットボールは、日本ではあまりメジャーなスポーツではないけれど、アメリカでNFLは、ベースボールと並ぶ大人気スポーツ。アメリカの一大祝日であるサンクスギビングデイ(Thanksgiving Day=感謝祭)には、家族や親族や友人で集まってターキー(Turkey=七面鳥)を食べてフットボールを観る、というのが伝統的な過ごし方だというくらいだから、単にスポーツというだけでなく、文化であるといえる。

ニューヨークのフットボールチームは3チームある。1925年創立の「ニューヨーク・ジャイアンツ(NEW YORK GIANTS)」と、1959年創立の「ニューヨーク・ジェッツ(NEW YORK JETS)」と、同じく1959年創立の「バッファロー・ビルズ(BUFFALO BILLS)」。GIANTSとJETSは本拠地としてニュージャージー州にある「ジャイアンツ・スタジアム(GIANTS STAGIUM)」を共有しており、BILLSの本拠地はニューヨーク州バッファローにある。

GIANTSとJETSの2チームの本拠地は地図的にはニュージャージー州にあるが、チーム名には「NEW YORK」という冠がついていて、NYCでもユニフォームやその他のグッズを身につけたニューヨーカーを見かけることも少なくないが、BILLSは本拠地こそ地図的にはニューヨーク州にあるとはいえ、バッファローはNYCからはとても遠いので、ニューヨーカーにとって特になじみが深いわけではないらしい。

JETS vs BILLSの試合観戦のために、Port Autiority Bus Terminalからシャトルバスに乗る。ターミナル内にはそこらじゅうにJETSのユニフォームを着たファンがいて、よい道しるべとなる。スタジアムまで30分程度の車内では、みな他人同士ながら和気あいあいとした雰囲気で、JETSやその他のチームについての批評が飛び交い、JETSのパーカを着た女の子とBILLSのパーカを着た彼氏というカップルについて、「BILLSファンがこのバスに乗っていいの(笑)?」という冗談がかわされたりした。

巨大なスタジアムが観客で埋まり、国歌斉唱ののちに試合開始、しかしその内容は両チームともファンブルしまくりのうえ一向に得点できないという見応えのなさ。とくにこの日のJETSはまったくいいとこなしで、JETS側のスタンドではごうごうたるブーイングが轟く。結局3-3のまま4thクオーターをむかえてその途中でBILLSがタッチダウンを決めると、JETS側のほとんどの観客が席を立つ。その後はあちこちで「どれほどクソゲームだったか」という会話が聞こえる。ファンにもかかわらず、ではなく、ファンだからこそ、のシビアさなのか。こういう、ここまでの容赦のなさはニューヨーカーの特徴かもしれない。