Thanksgiving Sale at Woodbury Common

アメリカでは、Thanksgiving Day(サンクスギビング・デイ)の翌日からクリスマス・イヴまでの期間の小売業界の売上高は、年間売上高のおよそ4分の1を占めるとされている。クリスマス商戦と位置づけられたその期間のはじまりの日に、デパートをはじめ多くのショップが「Thanksgiving Sale(サンクスギビング・セール)」などと銘打った特売を行う。その売上げにより収支は一気に黒字になるほどで、そのためThanksgiving Day翌日の金曜日は「Black Friday(ブラック・フライデー)」と呼ばれる。

このことからもわかるように、この特売はただの特売ではない。

まず、ディスカウント率がすごい。20%OFFなんて当たり前、50%とか70%OFFを打ち出すショップも少なくないし、「Buy 1, Get 1 Free(ひとつ買ったらひとつタダ)」とか「Buy 1, Get 1 50% Off(ひとつ買ったらひとつ半額)」とか、日本ではあまり見かけないお得な割り引き方法もある。その対象は、これからもっと寒くなる冬支度のためのコートやブーツなどの季節品や、発売されたばかりの商品も含む。だから、街にはたくさんのショッピングバッグをかかえた人でにぎわい、新商品の洗濯機と乾燥機を25%OFFで買ったとか、panasonicのでかいプラズマを$800で手に入れたとかいう武勇伝も聞く。

そして、開始時間がすごい。Thanksgiving Day当日は休業、あるいは通常より早めに閉店するショップがほとんどだが、その翌日のセールの開始時間は、4:00AMとか5:00AMとかだったりする。ニューヨーク近郊にあるアウトレット・モールのうち、もっとも大きな「Woodbury Common Premium Outlet(ウッドベリー・コモン・プレミアム・アウトレット)」では、0:00AMから「Midnight Madness」というセールをするということで、行ってみることにした。

往復バスのチケット($35)は昼間にあらかじめ買っておいたものの、10:30に42nd st. & 8th Ave.にあるPort Authority Bus Terminal(ポート・オーソリティ・バス・ターミナル)に到着すると、所定のチケット売り場や乗り場には長蛇の列ができていた。乗り場の列に30分程度並んでバスに乗り込んだものの、通常1時間で着くはずの道のりは、目的地を同じくする自家用車でひどく渋滞しており、結局到着までに2時間弱かかってしまった。

アウトレット内は、人気ショップが店内の混乱をさけるために一度に入店する客数を制限しているため、あちこちに行列ができていた。COACHなどは軽く1時間以上は要しそうだったが、NYC以上に寒いこの場所では、この待ち時間がおそろしいほどの苦痛。

軒を連ねる220を超えるショップが、もともと割安な商品をさらにディスカウントしているため、お得感は想像以上だったが、あまりの混雑と店内の散乱と、ショップだけでなくフードコートやトイレでもかなりの時間待たなければならず、その状態も想像以上にmadness。臨時のタイムスケジュールで運行する帰りのバスに乗り込むころには、体力と気力はこれまた想像以上に消耗していた。

Thanksgiving Sale at Woodbury Commonは、リターンも大きいけれど、そのぶんリスクも確実に大きい。この経験も一度でいいなと思う。