タイムズ・スクエアのニューイヤーズ・イブ・カウントダウン

NYCの大晦日(New Year's Eve)といえば、「New Year's Eve in Times Square」が有名である。

そもそもタイムズ・スクエアとは、NYCのミッドタウンに位置する39th St.〜52nd St.と6th Ave.〜9th Ave.の範囲のエリアのことであり、7th Avenue,Broadway and 42nd St.の交差点は「世界の交差点」ともいわれる。ブロードウェイ・ミュージカルが上演されている劇場が点在する「Theater District」とも重なる。タイムズ・スクエアはビルの外観に据えられた巨大ビルボード(屋外の広告板)や電光掲示板、ネオンサインがひしめき合い、昼も夜も派手やかににぎわっている。

そして「New Year's Eve in Times Square」とは、タイムズ・スクエアで行われる年越しのカウントダウンイベント。そのクライマックスは、「One Times Square(42 & 43 St. at Broadway & 7 Ave.に囲まれた場所)」に設置されたポールの頂上から、60秒のカウントダウンとともに「New Year's Eve Ball」がだんだんと降下して、降下した先にあるかたどられた新年の数字が点灯する、というシーン。それにともなうスターのショーや"Happy New Year"コール、打ち上げ花火などがイベントにいろどりをそえる。

New Year's Eve in Times Squareの歴史は、1904年にThe New York Times誌のオーナーが、NYCに新年を告げ祝うために、One Times Squareの上で花火を打ち上げるというものであったが、法律による花火の禁止を受けて、1907年からは電気で輝くNew Year's Eve Ballの降下という着想が花火にとって代わった。第二次世界大戦中の灯火管制の下で、New Year's Eve Ballは録音された教会の鐘の音に切り替えられたものの、その後は再び新年を彩るイベントの目玉となり、今ではNew Year's Eveの伝統的な象徴として世界中に知られている。

New Year's Eve Ballの直径は6フィート(約180cm)、重さは1,000ポンド(約454kg)を超えるというからかなり巨大だ。その表面はクリスタルと多彩なLED(発光ダイオード)で覆われてまばゆく光を放つ。

New Year's Eve in Times Squareは全米で生中継され、現地には100万人もの見物人が詰めかけるという。16:00には早くも見物人が集まりはじめ、NYPD(ニューヨーク市警察)の指示で適当な見物場所へと誘導されるのだが、ベストスポットはすぐに埋まってしまう。このころにはタイムズ・スクエア周辺は交通規制され、車両はもちろん一般の通行人も自由な通過や横断ができなくなる。

そして18:00になるとNew Year's Eve Ballがに明かりが点され、高さ77フィート(約23m)のポールの頂上まで吊り上げられる。その後は断続的にショーがあったり、19:00〜23:00までの毎時間の終わり15秒はショーのスターと一緒にカウントダウンをして「Happy New Year!」と声をそろえる「Hourly Countdown」があったりして、来たるべきときを待つ。

テレビの生中継もはじまり、イベントがクライマックスに近づくにつれて、タイムズ・スクエアを文字通り埋め尽くした見物人の盛り上がりもさらに大きくなり、そして23:59からはいよいよ本番のカウントダウンが開始、New Year's Eve Ballがきらめきながらゆっくりと降下して、新らしい年のはじまりの瞬間にNew Year's Eve Ballと同じく巨大な「2008」の数字に明かりが灯り輝きだし、打ち上げ花火が華々しく新しい年の夜空を飾る。

以上がNew Year's Eve in Times Squareの一連の流れ。

私は現地には行かず、家で年越し蕎麦を食べたり、お酒を飲んだりしながら、テレビでその光景を「ながら見」していた。現地に行っていない私としては、現場にいるからこその魅力はわかりようがないのだけれど、正直これはわからなくてもいい。

生中継されるタイムズ・スクエアの上空映像では、周辺すべてを埋め尽くした見物人がカーペットのように見えて思わずぞっとした。この季節にそこで8時間もひたすらに待ち、途中あたたかいコーヒーもディナーも満足になくてトイレにも行けない(一度場所を離れたらもう戻れない)なんて最悪、帰路もおもいやられる。イベントの内容もスターのショーはそれぞれたった数分のみで、つなぎの「Hourly Countdown」にいたってはナンセンスの極み。そもそもNew Year's Eve Ballは確かに大きくて美しくて見事かもしれないけど、それが少しずつ降下するのを遠くから見るのがそんなにおもしろいことなのか?伝統行事だとか新年という特別な日であることだとか好意的にプラスの要素を加味しても、New Year's Eve in Times Squareに行くなんてクレイジー、というのが私の結論。

ちなみに、テレビでは見物人のプロポーズや恋人たちの幸せそうな様子が映し出されていたが、私も恋人もNew Year's Eve in Times Squareでのデートを楽しめるとは思えないし、New Year's Eve in Times Squareでプロポーズする男の人とは絶対結婚したくない。