NYCドクターの診察スタイル

なにを隠そう、膀胱炎の持病がある。
男性にくらべて女性は膀胱炎になりやすく、しかも一度膀胱炎になると、いったん治ったと思っても、ちょっと尿意を我慢したり、肉体的に疲れたりすると、再発しやすい。
仕事中とか、なにかをしているときにトイレに行きたくなっても、もうちょっと、これをしてから、あとこれだけこれだけ、って我慢しちゃったりする。近くにあるのにねー。さっさと行けばいいのにねー。いつもあとで後悔するのに、なんでがんばっちゃうんだろう。仕事の性質上、トイレに行くタイミングが難しい女性ドクターやナースにも膀胱炎もちは多いと聞く。
尿意の我慢による再発は自分で対策を講じることができても、肉体的な疲労による再発はお手上げ。だから、なかなか完治しないのが実情。


渡米前も不安だったので、市販の薬をスーツケースに詰め込んで行ったのだが、到着後ももう2日目くらいから様子がおかしかったので、さっそく毎日薬を服用していた。しかし、すっかり耐性ができているのか、一向に効ず、症状は悪くなるばかり。ついに最後の薬まで飲みきってしまったので、日系の病院に行くことにした。


診察担当のドクターが、中国系アメリカ人で日本語は勉強中とのことだったので、英語があまりできない私は恋人に通訳としての同席を求めた。
病気が膀胱炎だから、症状の説明をするのも、妙齢の女子としてはけっこう恥ずかしいことはあるのだけれど、それが一通り終わって薬の処方も決まったあと、ドクターは私たちに
「最後にセックスをしたのはいつか」
と尋ねた。その後も続けて
「オーラルセックスはするか、どういうオーラルセックスをするか」
と尋ねる。
日本にいたときの診察で私はこういうことは聞かれなかったし一般的にもあまり聞かないだろうけど、実際にそれは膀胱炎に大いに関係があるとのことで(自分でも調べてみたら事実だった)、それならなるほど必要で重要な質問である。
ドクターの態度や質問の仕方も、すごく自然で、親しく打ち解けた感じだったので、ストレートな質問にもストレートに答えやすい。
用を足したあとにどういうふうにトイレットペーパーでふいているか(これも膀胱炎と深い関係がある)なんて、「ほら、ちょっとそこでやってみて」なんて言われて実演しちゃったもんね(もちろん着衣のままだけど)。
病院は、遠慮したり、恥ずかしがったりする場所ではないから、丁寧で会話上手のドクターのあけすけな診察スタイルにも納得したし、大賛成だ。

日本で今までに何人もの日本人ドクターに診てもらったが、セックスやオーラルセックス、用後のふき方が膀胱炎に関係するなんて一人も教えてくれなかった。確かに、男性ドクターが若い女性患者にその手の質問をするのはきわどいように見えるけれど、少なくとも若い女性で膀胱炎患者である私には、それは不可欠な情報だった。
全員手抜き診察だったのか、一般的にアメリカ人とくらべてシャイな日本人の性格ゆえか、どちらにしても、今回私を診察してくれたNYCドクターの診察スタイルを見習った方がいい日本人ドクターは多いと思う。



というわけで、funnyなドクターのおかげで、なんだかとっても楽めてしまったし、よい体験になった。