プラダを着た悪魔(THE DEVIL WEARS PRADA)

cocoxxx2007-10-19


2006年/アメリカ/監督:デヴィッド・フランケル/出演:アン・ハサウェイメリル・ストリープ

【story】※ネタバレあり

大学を卒業し、超難関のスタンフォードロースクールへの進学も拒否し、ジャーナリスト目指してニューヨークへやってきたアンディ(ハン・ハサウェイ)は、レントの支払いのための仕事として、一流ファッション誌「RUNWAY」で編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタントとして働くことになる。
それは、多くの女性の憧れと羨望のポストであると同時に、ミランダの過激で横暴な、まさに悪魔的な要求の数々に応えることができずに、今まで何人もの女性が犠牲になってきた、とてつもなくハードな仕事だった。
おまけに、「RUNWAY」を一度も読んだことがなかったアンディは、ファッションに関する知識もなく、ファッションセンスだけでなく、洋服のサイズさえも否定され、仕事は失敗続き。
それでもなんとかミランダの信頼も得られるようになったと思いきや、今度はその仕事のせいで恋人や友達にも愛想をつかされてしまう。


【comment】※ネタバレあり

ストーリーの展開がテンポよく、次々と出てくるおしゃれな洋服や靴やバッグに心が踊る。それもそのはず、監督のデヴィッド・フランケルは大人気テレビドラマシリーズ「SEX AND THE CITY」の6つのエピソードを手がけ、衣装デザインも同番組の衣装担当をしていたパトリシア・フィールドというので、まったく合点がいく。

役者の演技もいい。アン・ハサウェイは、まったく畑違いの会社で働く新人社員の雰囲気や、ファッションセンスが磨かれていく様子や、アンディの優しくて気が利く性格を、いかにも表現していて、たまらなくフレッシュでキュート。メリル・ストリープに関しては、ため息がでるくらい完璧。声も喋り方も視線の動きさえも「ミランダ・プリーストリー」を演じきっている。とくに、ラストに近いシーン、前夜に2度目の離婚が決定的になり、ノーメイクの表情からは年齢も疲労も弱音さえも垣間見えたにもかかわらず、翌日は自分のポストの危機を政治的行動で鮮やかに退け、そこでは長年自分の右腕として働いてきたファッション・ディレクターの犠牲さえも厭わず、ショーの会場入口で彼女を待ち受ける大群のプレスの前に、リムジンから降り立つときの笑顔には、ぞくっとした。その他の登場人物も、みんなそれぞれ魅力的。

個人的に好きなシーンはたくさんあるけど、体調が絶不調のエミリーが「I love my job, I love my job, I love my job・・・」とつぶやきながらパソコンに向かう姿は笑えた。すごい共感を覚えてしまう女子は多い気がする。

ドラマ的なノリで最後まで飽きさせないし、かといって映画としてよくできた作品だと思う。確かに、原作は実話に基づいているとはいえ、ストーリーは現実的ではないし、口をはさみたくなったりすることもけっこうある。けれど、そのストーリーをはじめとして細部まで実に意図通りにつくられているということで、この映画のクオリティは高いと思う。あとは好き嫌いの問題で、私は大好きだ。