口笛で呼び寄せられるわたし

バスルームのドライヤーで髪を乾かし終わったとき、口笛が聞こえた。
「なにー?」
スリッパでぱたぱた歩きながら音の聞こえる方へ行くと、恋人がちょっとした相談をしてきた。
ふんふんと話を聞いている途中で、気がついた。
わたし口笛で呼ばれた。
なんの疑問もなく、いそいそと「ふゅーふゅーふゅふゅふゅふゅふゅー」をたどったわたし。
わたし「さっきわたしのこと口笛で呼んだな!」と勇んだら、
恋人「あまりにも普通に呼び寄せられたから、笑うタイミングを逃した」と言ってあらためて笑い出した。
わたしは今ではすっかり口笛で呼ばれることが気に入ってしまい、たとえすねているときでも「ふゅー」がはじまるとひとたまりもなく、
不本意ではあるものの抗えずに、手軽に呼び寄せられてしまっている。